ひがしもこと芝桜公園

東藻琴(ひがしもこと)といえば、芝桜と呼ばれるほどの全国的な有名観光地、日本最大規模の10haがピンクに染まる絶景が見られます。


見頃

5月中旬~6月上旬

 入園料:あり

トイレ:あり

 


Impressions

芝桜はハナシノブ科の多年草でフロックスの一種。
北アメリカ原産で、花壇の縁取りなどに栽培されます。

花の形がサクラに似ており、 芝のように地面をおおって咲くので芝桜と呼ばれています。
5月~6月上旬に、直径1.5センチメートルほどの赤、桃、白、紫の小花を咲かせます。

 昭和52年、一反ほどの芝桜を株分けしてもらい、旧温泉施設周辺に植栽したのが始まりです。
 「この8ヘクタールに及ぶ山の7割は、私一人で植え付けしてきた。やっぱり愛着がわくよ。たくさんの人に喜んでもらえるのがうれしい。これほどの観光地になろうとは……自分の仕事がいつまでも残り、町のお役にも立てたと思うと、離農のかいがあったというものさ」。
 芝桜公園の「ピンクのじゅうたん」を22年間管理してきた中鉢末吉さんは語り始めた。
毎日毎日、陽が昇るころから暗くなるまで、小高い丘一面に生い茂ったカバの木や笹やトクサを刈り払い、根を掘り起こして火山灰地を耕し、苗を一株ずつ植える。
急斜面なので機械は使えず、一人っきりの手作業……字に書けば簡単だが気の遠くなるような作業であった。
一年に1ヘクタールほど開墾し、約八年で現在のピンク色の丘に変えた。
その後がまた大変で、スギナ、スカンコ、タンポポなどの雑草抜き、一ヶ月かけて一巡すると、また新しいのがはびこった。
10月まで五巡してその年が終わる。毎年その繰り返し。生やさしいものではなかった。
「花は人を見ている。愛情を込めなきゃ駄目。手を抜こうものなら、てきめん不機嫌になる。丁寧に扱うと、きれいになる……花作りは子育てと同じ」。
信念の汗が、温泉の丘をピンクの芝桜をまとった一大公園と化した。
「これが東藻琴の芝桜だ」と見事な景観とスケールで、多くの人を呼び込んでいる。
平成4年に「もう年だから、区切りの潮時だ」と、一度目の退職をしたが、花が機嫌を悪くして呼び戻された。かなりひどい状態だったという。
気がつけば80歳を越えていた。
「右ひざの関節炎のため、平成11年限りで隠居させてもらいました」。中鉢さんは満足げに「引退宣言」をした。
(広報東もこと 2001年6月号より抜粋)